2017年 07月 17日
小錦関 |
平成2年の夏。
まだ外は明るかった。この日は捜査二課の本業である収賄容疑の地方公務員を尾行し、
祇園の一角のクラブを張り込みした。
中に入る予算もなければ 一見で入店できるクラブでもなかった。
仕方がないので少し離れた所に駐車して、私は運転席から 相方はクラブの出入り口付近で見張ることにした。
付近は小料理、クラブ、スナック等で、車が邪魔になるのか料理屋の女将から目の前で何度も水をまかれて往生した。
西方向の小路が逆行でよく見えなかったのだが、
真ん中に大山 左右に小山が道一杯に伸して来た。
人間離れしているので目いっぱいにして見ると、
(その頃)大関の小錦関と付き人の2人だった。
浴衣姿であったが、はち切れんばかりで とにかくでっかい。
サーチライトのような目をギョロギョロさせてやって来る。
車に体当たりされたらどうしよう、と考えてしまった。
お酒も飲んでいるようで、荒々しい風を撒き散らし 蹴散らしていた。
外階段のある二階のスナックに来たらしいが、その階段は常人には通行可であったが、
小錦関には狭くいろいろ工夫をしていたがとうとう上ることは出来なかった。
私は車の中で笑ってしまった。
笑い声を聞かれるはずもないのにすごい目で睨まれた。
相方もそれを見ており、結局そのことが原因で公務員のその日の尾行は見失った。
上司に叱責されたが、
小錦関はすごかった。多分、手錠ははまらないだろう と思った。
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by hiromu-1946
| 2017-07-17 18:19
| 岡っ引き